リスキリングの公的支援を比べる|教育訓練給付・ハロートレーニング・経産省の補助はどれを使う?
結論(先に3行で)
- 在職中なら、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」と教育訓練給付、離職中ならハロートレーニング(公的職業訓練)と教育訓練給付が主な選択肢です。
- 教育訓練給付は雇用保険の加入期間などの要件があり、給付率は一般20%(上限10万円)〜専門実践最大80%(年64万円)。経産省の補助は受講費用の1/2(上限40万円)、転職して1年続けば1/5(上限16万円)を追加。
- どの制度も、対象の講座が決まっています。先に「対象講座の一覧」で、目指す職種に合う講座があるかを確認するのが近道です。
この記事でやること:自分が在職中か離職中かを確認 → 雇用保険の加入期間を確認 → 下の比較表で使える制度を選び、対象講座を検索する。
40代が使えるリスキリングの公的支援は?
ITの学び直し(リスキリング)に使える公的な支援は、主に3つです。対象者・お金の出方・講座の選び方がそれぞれ違います。
| 制度 | 対象者 | 支援の内容 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 教育訓練給付 | 雇用保険の加入期間などの要件を満たす在職者・離職後1年以内の人 | 指定講座の受講費用の20〜80%を支給 | ハローワーク |
| ハロートレーニング(公的職業訓練) | 仕事を探している人 | 受講料無料(テキスト代等は自己負担)、要件で職業訓練受講給付金 | ハローワーク |
| 経産省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」 | 在職中で、雇用主が変わる転職を目指す人 | 受講費用の1/2(上限40万円)、転職して1年継続で1/5(上限16万円)を追加 | 補助事業者(民間) |
確認した公式の案内では、どの制度にも年齢の上限は書かれていませんでした。
教育訓練給付はいくら出る?
教育訓練給付は、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受けたときに、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。
| 種類 | 基本の給付率と上限 | 追加の給付 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20%(上限10万円) | なし |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円) | 資格取得と就職で50%(上限25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 50%(年40万円) | 資格取得と就職で70%(年56万円)、さらに受講前より賃金が5%以上上昇で80%(年64万円) |
専門実践教育訓練は最大3年間・総額192万円まで受けられます。賃金上昇による80%への追加と、特定一般の追加給付は、令和6年10月1日以降に受講を始めた場合が対象です。
支給の要件は、受講開始日に雇用保険の加入期間が3年以上あること(離職日の翌日から受講開始日までが1年以内の人も含む)が基本です。初めて受ける人は、専門実践は2年以上、特定一般・一般は1年以上に緩和されます。受講開始日の前日から3年以内に給付を受けたことがある場合は対象外です。
自分が対象かどうかは、ハローワークで「支給要件照会」をすると確認できます。
ハロートレーニングはどんな人向け?
ハロートレーニング(公的職業訓練)は、仕事を探している人を対象にした職業訓練です。受講料は無料で、テキスト代や資格の受験料などは自己負担です(1年以上のコースは有料の場合があります)。一定の要件を満たすと、職業訓練受講手当(月額10万円)と通所手当などの職業訓練受講給付金を受けられます。
IT系のコースの内容・期間・開講時期は地域で違います。住んでいる地域のハローワークで、コースの一覧と申込の締切を確認してください。離職してから学ぶ場合は、雇用保険の基本手当(失業給付)との関係もハローワークで確認しましょう。
経産省のリスキリング補助はどう使う?
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、在職中で、雇用主が変わる転職を目指す人が対象です。登録時とキャリア相談の初回面談時の両方で在職者である必要があります。
仕組みは、経済産業省が採択した補助事業者(民間の事業者)が、キャリア相談・講座・転職支援をまとめて提供し、補助は補助事業者に支払われます。受講者は、補助で軽くなった費用で講座を受けます。
- 講座を修了すると、受講費用(税別)の1/2相当(上限40万円)が補助される
- 講座を経て転職し、1年続けて働いていることが確認されると、1/5相当(上限16万円)が追加される
- 合計で受講費用の約7割、最大56万円
- キャリア相談と転職支援は無料
追加補助の対象になる「転職」は、補助事業での職業紹介か、転職支援をする職業紹介事業者が自社で雇用する場合に限られます。補助額は事業者によって違うため、補助事業者の検索ページから講座を選び、各事業者に確認してください。
40代はどれを選べばいい?
| 状況 | まず確認する制度 |
|---|---|
| 在職中で、転職を前提に学びたい | 経産省のリスキリング補助(補助事業者の講座) |
| 在職中で、今の会社にいながら資格を取りたい | 教育訓練給付(一般・特定一般) |
| 在職中で、長期間しっかり学びたい | 教育訓練給付(専門実践) |
| 離職中 | ハロートレーニングと教育訓練給付 |
制度を組み合わせられるかどうか(同じ講座で2つの制度を使えるか)は、講座と制度ごとに決まりがあります。申し込む前に、講座の提供元とハローワークで確認してください。
学ぶ内容はどう決める?
IPAは、DXを進める人材のスキルの目安として「デジタルスキル標準(DSS)」を公開しています。すべてのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準」と、DXを推進する人材向けの「DX推進スキル標準」の2つで構成されています。学ぶ内容に迷ったら、目指す役割に近い部分を読んでみると、講座を選ぶ基準になります。
IT職の未経験から学ぶ場合の入口は40代未経験からIT職、試験の日程はIPA試験の日程と合格率を参照してください。
キャリアの相談だけしたいときは?
学ぶか、転職するか、今の会社に残るかを決めきれないときは、キャリアの相談から始める方法もあります。経産省の補助事業ではキャリア相談が無料で受けられます。民間のキャリアコーチング(有料のものが多い)もあります。転職エージェントは求人の紹介が中心なので、まだ転職を決めていない段階では、相談の目的を伝えておくと話がかみ合いやすくなります。
制度を使うときによくある迷いは?
よくあるのは「どの講座を選べばいいか分からない」という迷いです。講座を選ぶ前に、目指す職種を1つ決め、その職種の求人票の必須条件に出てくる言葉(クラウド、ネットワーク、データ、セキュリティなど)を書き出すと、講座の内容と比べやすくなります。講座の説明に、修了後の転職支援や、求人の紹介が含まれるかも確認しましょう。
もう一つは「費用が本当に戻るのか」という迷いです。教育訓練給付は、受講修了後にハローワークへ申請して支給される仕組みで、申請の期限があります。経産省の補助は、補助事業者が補助を受け取り、受講者の負担が軽くなる仕組みです。どちらも、受講前に対象講座であることと、手続きの流れを確認してから申し込むのが安全です。
1週間でやることは?
雇用保険の加入期間を確認し、在職中か離職中かで使える制度を選びます。次に、目指す職種に合う対象講座を3つ探し、費用・期間・転職支援の内容を比べます。最後に、ハローワークか補助事業者に、対象になるかを確認してください。
学び直しと転職活動は、どちらを先にする?
学び直しと転職活動は、どちらかを終えてから次、と考える必要はありません。在職中なら、講座を受けながら求人の必須条件を集め、学んだ内容が求人とどう結びつくかを確かめると、学ぶ内容の優先順位が決めやすくなります。経産省の補助事業は、キャリア相談・講座・転職支援を一体で提供する仕組みなので、相談しながら進めることもできます。
よくある質問
- 40代でも教育訓練給付は使える?
- 確認した案内に年齢の上限は書かれていません。雇用保険の加入期間(原則3年以上、初回は専門実践2年以上・ほか1年以上)などの要件を満たせば対象です。
- 経産省のリスキリング補助はいくら?
- 受講費用(税別)の1/2相当(上限40万円)、転職して1年継続で1/5相当(上限16万円)を追加。合計で約7割・最大56万円です。
- ハロートレーニングは在職中でも受けられる?
- 主に仕事を探している人が対象です。在職者向けの訓練の有無は地域のハローワークで確認してください。
- 教育訓練給付の対象かどうかはどこで分かる?
- ハローワークの「支給要件照会」で確認できます。
- 教育訓練給付とリスキリング補助は一緒に使える?
- 講座と制度ごとに決まりがあります。申し込む前に、講座の提供元とハローワークで確認してください。
出典・確認したページ
- ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」:専門実践50%(最大80%・年64万円)、特定一般40%(最大50%)、一般20%(上限10万円)、雇用保険の加入期間3年以上(初回は2年・1年)(2026-11-02確認)
- ハローワーク三鷹「ハロートレーニング(公的職業訓練)」:受講料無料(テキスト代等は自己負担。1年以上のコースは有料の場合あり)、一定の要件で職業訓練受講手当 月額10万円(2026-11-02確認)
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」:在職者が対象。受講費用の1/2(上限40万円)、転職して1年継続就業で1/5(上限16万円)を追加、補助は補助事業者経由(2026-11-02確認)
- IPA「デジタルスキル標準(DSS)」:DXリテラシー標準(DSS-L)とDX推進スキル標準(DSS-P)の2つで構成(2026-11-02確認)
- IPA「試験日程」(2026年10月26日更新):令和8年度前期・後期の申込受付期間と試験実施期間(応用情報・高度試験・支援士)、受験手数料7,500円(2026-11-02確認)
この記事は 2026-11-02 時点で公的機関・各社公式ページを確認して書いています。制度や各社の条件は変わることがあるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。体験談・口コミは掲載していません。転職の結果(内定・年収)を約束するものではありません。