40代の転職で年収は下がる?エンジニアの賃金を厚労省の統計で確かめる
結論(先に3行で)
- 統計では「40代の転職で年収が下がる人が多い」とは言えません。令和6年雇用動向調査(全職種)では、転職で賃金が増加した人は40〜44歳45.9%・45〜49歳46.4%、減少は29.0%・23.8%でした。
- 情報通信業の月給(所定内給与)は40〜44歳456.8千円、45〜49歳491.7千円で、全産業より高い水準です。55歳以降は転職で減少する人の割合が増加を上回ります。
- 採用する側は、情報通信業の事業所の81.3%が「これまでの経験・能力・知識」で賃金を決めています。年収を守る鍵は、経験の中身を求人に合わせて説明することです。
この記事でやること:下の表で自分の年齢の「増加・減少」の割合を確認 → 今の年収の内訳を書き出す → 診断で職種別の年収の目安と窓口を確認する。
40代で転職した人の賃金は、増えた?減った?
「40代の転職は年収が下がる」という話をよく聞きますが、公的統計で確かめると、そう単純ではありません。厚生労働省の令和6年雇用動向調査は、1年間に転職した人(前職が雇用者で、調査時に在籍している人)について、前職と比べた賃金の変化を年齢別に公表しています。
| 年齢階級 | 増加 | うち1割以上増 | 変わらない | 減少 | うち1割以上減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 計(全年齢) | 40.5% | 29.4% | 28.4% | 29.4% | 21.7% |
| 40〜44歳 | 45.9% | 33.2% | 23.7% | 29.0% | 21.2% |
| 45〜49歳 | 46.4% | 29.1% | 26.9% | 23.8% | 16.5% |
| 50〜54歳 | 39.0% | 26.3% | 31.7% | 28.2% | 21.0% |
| 55〜59歳 | 27.4% | 17.3% | 33.6% | 36.6% | 30.7% |
| 60〜64歳 | 13.6% | 7.9% | 24.2% | 60.9% | 53.9% |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合。前職が雇用者で調査時に在籍している転職入職者が対象、全産業・全職種。賃金変動状況「不詳」を含むため合計は100%になりません(2026-11-02 確認)。
40〜44歳では、賃金が増加した人が45.9%(うち1割以上の増加33.2%)、変わらない人が23.7%、減少した人が29.0%(うち1割以上の減少21.2%)でした。45〜49歳は増加46.4%・減少23.8%で、増加の割合は全年齢の平均(40.5%)より高い値です。50〜54歳も増加39.0%・減少28.2%で、増加が減少を上回ります。
一方、55〜59歳は増加27.4%・減少36.6%、60〜64歳は増加13.6%・減少60.9%と、減少が増加を上回ります。役職定年や定年後の再就職を含む年齢層であることも影響していると考えられます。50代の転職については50代のエンジニア転職で詳しく扱います。
この表は全職種の値で、IT職だけの値ではありません。また、増えた人・減った人の割合であって、あなたの転職の結果を予測するものではありません。それでも、「40代の転職は年収が下がるもの」と決めつける根拠はない、ということは言えます。
ITエンジニアの年収は年齢でどう変わる?
令和7年賃金構造基本統計調査(結果の概況)で、情報通信業と全産業の年齢別の月給(所定内給与額。残業代・賞与を含まない)を比べると次のとおりです。
| 年齢階級 | 情報通信業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 40〜44歳 | 456.8千円 | 364.3千円 |
| 45〜49歳 | 491.7千円 | 377.9千円 |
| 50〜54歳 | 491.3千円 | 388.8千円 |
| 55〜59歳 | 516.3千円 | 396.2千円 |
| 60〜64歳 | 451.5千円 | 329.3千円 |
| 年齢計 | 406.0千円 | 340.6千円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第5-1表(産業、年齢階級別賃金)・第2表(性、年齢階級別賃金)。男女計の所定内給与額(月額。残業代・賞与を含まない)。情報通信業には通信・放送・出版なども含まれ、ITエンジニアだけの値ではありません(2026-11-02 確認)。
情報通信業の月給は、40〜44歳456.8千円、45〜49歳491.7千円、50〜54歳491.3千円、55〜59歳516.3千円と、55〜59歳まで上がり、60〜64歳で451.5千円に下がります。全産業(40〜44歳364.3千円、55〜59歳396.2千円)より高い水準です。情報通信業には通信・放送・出版なども含まれるため、ITエンジニアだけの値ではありません。
職種別の年収(賞与を含む年額)は、厚生労働省 job tag の値が目安になります。
| 職業(job tag) | 賃金(年収) | 平均年齢 | 月の労働時間 | 有効求人倍率 | 統計区分の注意 |
|---|---|---|---|---|---|
| システムエンジニア(基盤システム) | 889.0万円 | 38.3歳 | 173時間 | 2.24 | PM(IT)・ITコンサルタントと同じ値 |
| プロジェクトマネージャ(IT) | 889.0万円 | 38.3歳 | 173時間 | 1.60 | 基盤システムSE・ITコンサルタントと同じ値 |
| 運用・管理(IT) | 609.8万円 | 42.2歳 | 160時間 | 2.20 | ヘルプデスク・データエンジニア・セキュリティと同じ値 |
| システムエンジニア(受託開発) | 578.5万円 | 37.1歳 | 159時間 | 2.54 | Web・組込みSE・プログラマーと同じ値 |
| データサイエンティスト | 611.9万円 | 43.9歳 | 159時間 | 8.91 | ほかのIT職と異なる統計区分 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。年収・年齢・労働時間は「令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成」、有効求人倍率は令和7年度のハローワーク求人統計データ。job tag は「統計データは、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」と注記しています(2026-11-02 確認)。平均値で、個人に提示される年収ではありません。
IT職の値は3つの統計区分にまとまっていて、基盤システムSE・PM・ITコンサルタントは889万円(平均38.3歳)、運用・管理などは609.8万円(42.2歳)、受託開発・Web・組込みSEなどは578.5万円(37.1歳)です。どの区分に近い仕事をしてきたか、これからするかで、年収の水準が大きく違うことが分かります。
採用する会社は、転職者の賃金を何で決めている?
厚生労働省の令和7年転職者実態調査(令和8年9月25日公表)は、転職者を採用した事業所に、賃金を決める際に考慮した要素を聞いています。
| 考慮した要素(複数回答) | 全産業 | 情報通信業 |
|---|---|---|
| これまでの経験・能力・知識 | 59.2% | 81.3% |
| 年齢 | 35.3% | 50.8% |
| 前職の賃金 | 27.0% | 50.7% |
| 賃金の世間相場 | 34.2% | 28.4% |
| 免許・資格 | 30.6% | 15.1% |
| 学歴 | 12.0% | 10.9% |
情報通信業では、「経験・能力・知識」を考慮した事業所が81.3%と、全産業より22ポイント高い値でした。「年齢」と「前職の賃金」も約半数の事業所が考慮しています。一方で「免許・資格」は15.1%と、全産業(30.6%)より低い値です。
ここから読み取れるのは、IT職の転職では、経験の中身で賃金が決まりやすく、資格は補助的だということです。前職の賃金が考慮されることも多いため、今の年収を正確に把握しておくことも大切です。
年収を下げないために、何を準備する?
- 今の年収の内訳を書き出す。基本給・残業代・賞与・手当(住宅・家族・資格など)を分けます。残業代が多い人は、残業の少ない会社に移ると額面が下がることがあります。比べるのは、同じ働き方をしたときの年収です。
- 経験を、応募先の求人の言葉で書く。職務経歴書で「何年・どの規模で・何を担当し・どんな結果を出したか」を数字で書きます。40代エンジニアの職務経歴書を参照してください。
- 職種の統計区分を意識する。運用から設計・構築へ、開発からPMへなど、上の区分に近い仕事の経験があれば前に出します。
- 年収の範囲が書かれた求人を複数比べる。エージェントに、自分の経験で応募できる求人の年収の範囲を聞きます。
- 内定時に条件を書面で確認する。労働基準法第15条で、賃金などの労働条件は書面などで明示されます。説明と違いがないか確認してください。
40代で年収を上げた人は、どんな転職をしている?
統計は「どんな人が上がったか」までは示していません。このサイトでは体験談を作らないため、一般論として、求人票で年収が上がりやすい条件を挙げます。
- 今の経験がそのまま使える職種・業界への転職(即戦力として採用されやすい)
- 役割が上がる転職(リーダー→PM、運用→設計・構築など)
- 賃金の水準が高い業種・規模の会社への転職
逆に、未経験の職種への転職、働き方を変える転職(残業を減らす・リモート中心にする)では、年収が下がることもあります。何を優先するかを決めてから応募先を選ぶと、内定後の判断で迷いにくくなります。
結果と次にやることをメールで受け取る
登録すると、40代からのエンジニア転職チェックシート(印刷用)と、今の仕事(開発/インフラ/社内SE・PM/IT以外)に合わせた10回のメール講座(職務経歴書・資格の位置づけ・求人票の読み方・許可番号の調べ方・内定と退職の注意など)をお送りします。講座のあとも、試験日程や制度改正などのお知らせを不定期にお送りすることがあります。メールには広告(PR)を含む回があり、配信はいつでも停止できます。
年収の数字を見るときの注意は?
公的統計の年収は、平均値です。平均値は、一部の高い人の値に引っ張られることがあり、真ん中の人の値とは違います。また、job tag の値は職業の統計区分ごとの値で、区分の中にはいろいろな仕事が含まれます。提示される年収は、会社の規模・業種・地域・役職で大きく変わるため、統計は「水準の目安」として使い、実際の判断は求人票の年収の範囲で行いましょう。
よくある質問
- 40代の転職で年収が上がる人の割合は?
- 令和6年雇用動向調査(全職種)では、転職で賃金が増加した人は40〜44歳で45.9%、45〜49歳で46.4%でした。減少はそれぞれ29.0%・23.8%です。
- ITエンジニアの40代の平均年収は?
- 職種別の年齢階級の値は今回確認できていませんが、情報通信業の月給(所定内給与額)は40〜44歳456.8千円、45〜49歳491.7千円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。職種別の年収は job tag で、基盤システムSE・PM 889万円、運用・管理609.8万円、受託開発SE 578.5万円です。
- 転職先の会社は年収を何で決める?
- 令和7年転職者実態調査では、情報通信業の事業所の81.3%が「これまでの経験・能力・知識」、50.8%が「年齢」、50.7%が「前職の賃金」を考慮していました。
- 資格を取れば年収は上がる?
- 同じ調査で「免許・資格」を考慮した情報通信業の事業所は15.1%でした。資格は経験の説明を補う材料として使うのが現実的です。
- 残業代が多いと、転職で年収が下がって見える?
- 残業の少ない会社に移ると、額面の年収が下がることがあります。基本給・残業代・賞与・手当を分けて、同じ働き方での年収を比べてください。
出典・確認したページ
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」3 転職入職者の状況:表6 転職入職者の賃金変動状況別割合(年齢階級別。増加・変わらない・減少)(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(5)産業別:第5-1表 産業、年齢階級別賃金。情報通信業 年齢計406.0千円、40〜44歳456.8千円、45〜49歳491.7千円、50〜54歳491.3千円、55〜59歳516.3千円(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2)性別:第2表 性、年齢階級別賃金(所定内給与額。男女計 40〜44歳364.3千円・55〜59歳396.2千円など)(2026-11-02確認)
- job tag「システムエンジニア(基盤システム)」:賃金(年収)889万円・年齢38.3歳・労働時間173時間(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)、有効求人倍率2.24(令和7年度)(2026-11-02確認)
- job tag「プロジェクトマネージャ(IT)」:賃金(年収)889万円・38.3歳(基盤システムSE・ITコンサルタントと同じ統計区分)、有効求人倍率1.6、関連資格 プロジェクトマネージャ・PMP(2026-11-02確認)
- job tag「運用・管理(IT)」:賃金(年収)609.8万円・42.2歳・160時間、有効求人倍率2.2、関連資格 応用情報・ITサービスマネージャ・CCNA・LPIC など(2026-11-02確認)
- job tag「システムエンジニア(受託開発)」:賃金(年収)578.5万円・37.1歳・159時間、有効求人倍率2.54(2026-11-02確認)
- job tag「データサイエンティスト」:賃金(年収)611.9万円・43.9歳、有効求人倍率8.91(2026-11-02確認)
- job tag「統計データの利用に当たっての留意点」:統計データは必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではない(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」:令和7年10月1日現在。事業所約17,000・転職者約13,000人。前回は令和2年(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」事業所調査 2 転職者の採用状況:表5 賃金決定の際に考慮した要素(計:経験・能力・知識59.2%、年齢35.3%、前職の賃金27.0%。情報通信業:経験・能力・知識81.3%、年齢50.8%、前職の賃金50.7%)(2026-11-02確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法」:第15条(労働条件の明示、相違する場合の即時解除)、第39条(年次有給休暇)、第115条(時効)(2026-11-02確認)
この記事は 2026-11-02 時点で公的機関・各社公式ページを確認して書いています。制度や各社の条件は変わることがあるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。体験談・口コミは掲載していません。転職の結果(内定・年収)を約束するものではありません。